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『有期契約』とは期間の定めのある雇用契約で、アルバイト・パート・契約社員が該当し、『パートタイム・有期雇用労働法』という法律で待遇や労務管理について定められています。
正社員と待遇が違うのが当たり前だと思っている方が多いと思います。それって、本当に当たり前なのでしょうか?
ここでは労務管理のポイントを解説していきます。
『パートタイム・有期雇用労働法』は、以下のような時代背景を受けて法令化されました。
”現在、パートタイム労働者全体の約4分の3を、有期雇用労働者全体の約6割を、女性が占めています。そして、双方ともに、約2割を 65 歳以上の高齢者が占めています。
パートタイム労働や有期雇用労働は、育児や介護などの事情により働く時間に制約のある労働者をはじめ、多様なニーズや事情を抱えた労働者が従事しやすい一方、正社員として働く機会を得られずパートタイム労働者や有期雇用労働者として働いている方もおられます。そして、中には働き方に見合った待遇とはいえない方もおられるのが実情です。
パートタイム・有期雇用労働法は、こうした問題を解消してパートタイム労働者や有期雇用労働者がその能力を発揮することができる雇用環境を整備するとともに、働く人々がそれぞれの意欲や能力を十分に発揮し、その働きや貢献に応じた待遇を得ることのできる「公正な待遇の実現」を目指しています。”
現在、正社員と非正規社員の比率は4:6で、非正規社員の方が多いのです。そんな非正規社員の労働環境の向上は労働人口の増加にもつながるため急務といえます。
2021年4月に法律が施行されたことにより、どのような待遇面を改善していく必要があるのかが挙げられました。
同一企業内において、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で、 基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。
これは、仕事の内容、責任の程度、転勤や異動の範囲が全く同じ正社員と有期契約社員がいる場合は、待遇は同じにしてください。というものです。
これを『同一労働同一賃金』をいいます。
仕事内容が同じなのに給料に差があるというのはよくあることです。
ですが、これだけでは違法ではありません。
法律では仕事内容だけでなく、責任の程度や転勤・異動についても正社員と同じところまで求めているため、実際には『同一労働同一賃金』に当てはまるものは少ないように思います。
ただ、一般的に考えて、正社員と仕事内容が同じということはその有期契約社員は優秀ということですので、特に給与面を考慮するのが良好な関係を維持できます。
雇入れ時には以下の4項目は全員に必ず説明しなくてはいけません。
・賃金制度はどうなっているか
・どのような教育訓練があるか
・どの福利厚生施設が利用できるか
・どのような正社員転換推進措置があるか
また、労働者から以下の説明を求められたら説明をしなくてはいけません・
・どの要素をどう勘案して賃金を決定したのか
・どの教育施設や福利厚生施設がなぜ使えるのか(なぜ使えないのか)
・正社員転換推進措置の決定にあたり何を考慮したか
正社員との待遇差についても説明を求められたら会社は説明をしなくてはいけません。『同一労働同一賃金』の考え方を基本として、何が違うから待遇差があるかを整理しておく必要があります。
また、当然ですが、説明を求めたことを理由として、解雇などの不利益な扱いをすることは禁止されています。
有期契約社員が5年を超える雇用契約をした時、
その雇用契約が終わるまでに無期転換を申し込んだら、次の雇用契約は期間の定めのない契約となります。これを『無期転換ルール』といいます。
無期転換の申込をうけたら会社は拒否することはできず、自動的に次の契約から無期転換となります。無期転換後は契約期間以外は今までと同じ労働条件ですが、合意により変更することもできます。
無期転換社員は、正社員でも有期契約社員でもない雇用区分となります。ご注意いただきたいのは、雇用の終了がないことです。正社員と同じ定年制度を導入しておく必要があります。
労働者の6割を占める非正規社員の雇用環境改善は国が強く推し進めている部分でもあります。
ライフステージにおいて多様な働き方を選ぶときにパートタイムや契約社員は重要な選択肢ですが、会社側としては雇用管理が複雑となっています。
適正な雇用管理については社会保険労務士が専門家です。
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